ネタバレ・レビュー

【ネタバレも】映画『ひとよ』のあらすじからレビュー、ロケ地や原作からキャスト情報まで紹介!

映画『ひとよ』は、「家族」とは何かというメッセージを投げかけている映画です。

母親が子どもたちを守るために、父親を殺すという事件から全ては始まります。

舞台は、その15年後。

母親が刑期を終えて、家族のもとに帰ってきます。

15年前の「ひとよ」で変わってしまったそれぞれの人生は、家族に何をもたらすのか。

家族の形を改めて考えさせられる映画です。

映画「ひとよ」作品紹介・あらすじ

-予告動画-
(引用元:YouTube)

 
田舎の町でタクシー会社を営んでいた稲村家。

こはる(田中裕子)は、夫と3人の子どもたちと暮らし、自身も運転手として働いていました。

一方、夫は家族に暴力をふるうDV夫でした。

こはると幼い子どもたちは、日々謂れのない暴力に晒され続けていたのです。

そんなある日、こはるは子どもたちを守るために、夫を殺します。

子どものためにやったことなので、彼女に後悔はありません。

結果、15年の刑期に服するのでした。

そして時が経ち、こはるが戻ってきます。

タクシー会社は、こはるの甥の経営で、事件の誹謗中傷に耐えながらも「稲丸タクシー」と名前を変え営業していました。

暴力を振るう父親がいなくなり、子どもたちは幸せに暮らしているのだろうか。

そんなこはるの思いとは違い、子どもたちの人生は紆余曲折です。

長男の大樹(鈴木亮平)は事件のせいで就職活動が思うようにいかず、妻の二三子(MEGUMI)の実家の電気屋で働いています。

次男の雄二(佐藤健)は事件を恨みやさぐれ、売れないフリーライター。

長女の園子(松岡茉優)は母親を信じ続けながら、事件が原因で美容師の夢を諦めて、スナックで働いていました。

3人の子どもたちは、戻ってきた母親をすんなり受け入れることができません。

しかし、こはるを迎え入れての生活は、否応なしに始まるのです。

そして、訳ありな稲丸タクシーの従業員たち。

事務員の柴田弓(筒井真理子)は、姑の介護をしながら、年下の愛人を持っています。

運転手の堂下道生(佐々木蔵之介)は、元ヤクザ。

稲村家のみならず、このタクシー会社の従業員も複雑に絡み合って、物語は思いもよらぬ展開を見せていきます。

映画「ひとよ」感想(レビュー)・見どころ

 
Yahoo! 映画サイトによると、評価3.92点で、710件の口コミが寄せられています。

家庭内殺人があった家族の在り方という重いテーマを、それぞれの立場からリアルに描いているという高評価が目立ちます。

一方で、オムニバス形式でもあるので、各役の描き方が浅いといった指摘もありました。

映画の時間枠では語りきれないほど内容が濃い、ということなのでしょうか。

見どころは、豪華な出演者の圧巻の演技でしょう。

全体的に役者への評価は高いです。

田中裕子さん、佐々木蔵之介さんなどのベテランの演技はさることながら、鈴木亮平さん、佐藤健さん、松岡茉優さんが、そのベテラン勢に若いながらも食い込んでいるようです。

また、イケメン担当の佐藤健さんの濃厚なベッドシーンもあるとか。

これも期待大ですね。

また、現在が過去を追い越すシーンや、人間関係の衝突を映像で見せるなど、抽象的な描かれ方が効果的に入っているようです。

セリフで語らせない演出は、心を打つものがあります。

映画「ひとよ」のロケ地について

ロケ地は、千葉県と茨城県で行われたようで、色々な目撃談が報告されています。

具体的には、千葉県小見川のドコモショップ、小見川。

茨城県神栖市の実在するタクシー会社、スナック。

茨城県の大洗港の埠頭。などなど。

映画「ひとよ」の原作について

劇団KAKUTA主宰の劇作家・桑原裕子が手掛けた戯曲です。

この劇団が上演した作品ですね。

また、長尾徳子が小説に書き改め、集英社から出版されています。

映画「ひとよ」のキャスト/出演者

 
・稲村雄二役:佐藤健

・稲村大樹役:鈴木亮平

・稲村園子役:松岡茉優

・丸井進役:音尾琢真

・柴田弓役:筒井真理子

・歌川要一役:浅利陽介

・牛久真貴役:韓英恵

・稲村二三子役:MEGUMI

・友國淳也役:大悟(千鳥)

・堂下道生役:佐々木蔵之介

・稲村こはる役:田中裕子

映画「ひとよ」ネタバレ・ラスト

 
こはるが起こした事件は、未だに世間の関心を惹きます。

しかし15年という長い年月は社会の価値観を変え、この事件が好意的に雑誌で取り上げられました。

そして会社が好転できると思っていたある日、事件が起きます。

柴田が、介護していた姑を殺してしまうのです。

また「ひとよ」で今までの日常が一変してしまいました。

その上、ヤクザから足を洗って更生した堂下が、息子に渡したお金が覚せい剤に使われていることを知ってしまいます。

絶望した堂下は、ヤケ酒をして、こはるを連れて一緒に死のうとタクシーを走らせてしまうのです。

しかし、それに気づいた子どもたちが雄二の運転で、堂下のタクシーを追いかけて、追突させてタクシーを止めました。

母親を思う子どもたちの気持ちが露わになった瞬間でした。

堂下は、「息子と久しぶりに再会して過ごした幸せな「ひとよ」は何だったんだ!」と嘆きます。

そこにこはるが

「ただの夜だったんですよ、自分にとって特別なだけで。他人には何でもなくても、自分にとって特別なら、それでいい」

と言いきります。

舞台は変わり、稲村家の庭。

園子がこはるの髪を切ってあげ、稲村の家族が集まっています。

そして、雄二は自分が成り上がるために公表しようとしていた母親の記事のデータを消して「またね」と東京に戻っていきます。

消せない過去はあるけど、確かにある家族の繋がりを確認し、それぞれが自分の現実に戻っていくのでした。

「ひとよ」とは、「人よ」であり「一夜」。

一夜で人生が変わることもある。

人はそれでも人生を受け入れていくことができる。

そんなメッセージが映画全体に込められているようです。