レビュー

映画『閉鎖病棟-それぞれの朝-』 あらすじから感想やロケ地、小説から主題歌やキャスト情報も

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映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」は、実際の精神科医が書いた小説を映像化した、ヒューマンサスペンスです。

精神病院の閉鎖病棟で起きた殺人事件をきっかけに、患者たちの思いが交錯し、それぞれの人生が、今までとは異なる方向に動き始めます。

彼らが犯した罪は何なのか。

人が生きる意味とは。

精神病院への偏見へのアンチテーゼでもあり、一人一人の人生を深く考えさせられる作品となっています。

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」作品紹介・あらすじ

-予告動画-
(引用元:YouTube)

 
舞台は長野県にある精神病院、六王子病院。

そこには、様々な人生を抱えた患者たちが入院しています。

実母と妻、その間男を殺害した死刑囚でありながら、刑の執行が失敗し、下半身不随となり放免となった梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。

普通のサラリーマンだったのに、いきなり幻聴が聞こえ始め、人生が狂ってしまった、チュウさんこと塚本中弥(綾野剛)。

うまくしゃべれないけれど、カメラが大好きな昭八(坂東龍汰)。

家族がいないのに、毎回おめかしして「家族のもとに一時帰宅する」という石田サナエ(木野花)。

世間から隔絶されながらも、閉鎖病棟で暮らす入院患者たちは、その日その日を堅実に生きていました。

ある日、この病院の外来に、女子高生の島崎由紀(小松菜奈)が母親とやってきます。

由紀の症状は、突然部屋に引きこもってしゃべらなくなったこと。

母親には言えませんでしたが、義父にレイプされ、妊娠していたのです。

それを医師に指摘されると、由紀は診察室から飛び出し、屋上から投身自殺を図ります。

幸い軽症で済んだ由紀ですが、お腹の子は亡くなってしまい、そのままこの病院に入院することになりました。

そこで出会った中弥、秀丸、昭八、サナエ。

実の母親からも疎まれ、絶望していた由紀でしたが、彼らとの交流を通じて、少しずつ人生に希望を持ち始めるようになるのです。

しかし、そんな折、同じく入院患者で薬物中毒の重宗(渋川清彦)から、由紀はレイプの被害にあってしまうのです。

そのことを、偶然事件を目撃した昭八から聞いた中弥は、秀丸に相談します。

そして、それを知った秀丸は、重宗を殺害してしまうのでした。

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」感想(レビュー)・見どころ

 
Yahoo!映画サイトによると、評価は3.53点、口コミは686件と注目度が高いです。

見どころは、患者ひとりひとりの像がとてもしっかり描かれていて、大変重みのある作品であるということです。

そのため、登場人物に感情移入できるようです。

主体的に生きる意味など、深く考えさせられる作品となっています。

また、由紀役の小松菜奈さんの演技が高評価のようです。

若干23歳の彼女は、『沈黙 -サイレンス-』でハリウッドデビューも果たしている実力者。

一筋縄ではいかない由紀の苦悩を、見事に演じきっているようです。

各出演者の演技も、この映画の注目度の高さを示しているのでしょう。

一方で、実際の精神病院の閉鎖病棟を知っている人や、実際の精神疾患の知識がある人、原作を知っている人などからは、なかなか辛口のレビューが出ています。

映像化するうえで、現実にそぐわなかったり、小説の内容から変更を余儀なくされてしまったところがあるようです。

また、主演者が癖のある人たちなので、そこが合わない人はあまり楽しめなかったようですね。

それでも、高評価であることは事実なので、一見の価値があるのではないでしょうか。

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」のロケ地について

ロケ地は映画の舞台と同じ長野県内で行われていたようです。松本市、上田市、小諸市が中心だったそうです。

病棟の撮影場所も、長野県にある実在する精神病院の、小諸高原病院とのこと。

ちなみに、精神科病棟での映画撮影は国内初ということで、精神科病棟の実際が見られる貴重な映画です。

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」の主題歌について

主題歌は、Kの「光るソラ蒼く」という曲です。

Kは、2005年に日本でデビューした、韓国はソウル出身の男性シンガーソングライターです。

秀丸役の笑福亭鶴瓶さんは「この映画は本当に人に優しい映画で、その「優しい」がこの曲にすべて入っています」とコメントしています。

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」の小説について

この映画の原作は、帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作「閉鎖病棟」という小説です。

帚木氏は実際の精神科医であると同時に作家でもあります。

実際に様々な人生を見てきた精神科医だからこそ、描けた臨場感のある作品なのでしょう。

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝― 」のキャスト/出演者

 
・笑福亭鶴瓶:梶木秀丸
・綾野剛:塚本中弥(チュウさん)
・小松菜奈:島崎由紀
・木野花:石田サナエ
・渋川清彦:重宗
・坂東龍汰:丸井昭八

映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」ラスト

 
重宗を殺害した秀丸は、警察に連行されます。

でも、重宗は院内で大変な厄介者だったので、秀丸を責める者はいません。

病院のみんなから、温かい目で秀丸は送り出されるのでした。

その後、由紀はみんなに会うことなく、引っ越していきます。

中弥は看護師長の後押しもあって無事退院し、再就職を果たします。

サナエは残念ながら逝去。

昭八は入院を継続しますが、中弥との信頼関係は深まっていきます。

一方、秀丸は生きる気力をなくし、弁護士にも何も語りませんでした。

秀丸の裁判を知った中弥は、傍聴するため裁判所に向かいます。

その裁判所で、思いがけず由紀と再会したのです。

由紀は事件のあと、絶望しながらも、自ら生きる希望を取り戻したのです。

そして秀丸の弁護側の証人として、出廷することを決意したのでした。

裁判が始まり、由紀がいることに秀丸は驚きます。

由紀は、秀丸の人柄や、重宗にレイプされたことを話し始めます。

そして、事件を知った秀丸が重宗を殺したこと、本当なら自分が重宗を殺していたであろうことも。

秀丸の出所を、ずっと待っていると、最後に告げます。

中弥も閉廷後、秀丸に「俺、退院したよ!」と何度も叫びます。

そして涙を流しながら連れていかれる秀丸の背中に「待ってるから」と小さく投げかけました。

舞台が変わり、刑務所の中庭。

そこには、車いすに座る秀丸がいます。

秀丸は両足を地面に下ろし、自分の足で歩きだそうとするのでした。